月とプールと人魚の夏
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と揺れた。夜のプールにちゃぷちゃぷと小さな水音だけが木霊する。
やがて彼女のたてた波紋は静かにプール全体に広がっていった。
「気持ちいい・・・・。」
鈴を転がしたような涼やかな声でめぐみは呟く。
プールサイドに腰掛けた彼女の華奢な後姿を眺めながら、僕は金網のフェンスに凭れて
煙草をふかしている。昼間の熱気の名残を含んだ生温い風が、めぐみの長い髪をそよがせ
て通りすぎて行った。
プールの向こうには四階建ての校舎がそびえ立っていた。校舎は月明かりに照らされ、
闇の中に白い壁をくっきりと浮かび上がらせている。
ゆったりとした時間が静かに流れていく。
「ねぇ、泳ごうよ。」
突然、めぐみはこちらを振り返ると、肩越しに悪戯っぽい微笑みを浮かべながら言った。
「泳ぐ?、今ここでか?」
驚いて訊き返すとめぐみはこっくりと頷く。
「おいおい、水着とか何も持ってないだろう。」
「平気よ、裸で泳げば。」
彼女はそう言うとプールから足を抜き、すっくと立ち上がった。
「ちょっと待て。誰かに見られたらどうするんだよ。」
「こんな夜中に誰も通りかかるわけないでしょ。」
まあ、確かにこんな時間にこんな場所をうろつくようなバカな人間はいないだろうな、僕
達以外は・・・・などと僕が変に納得している間に、めぐみはレモンイエローのワンピースに
手を掛けていた。
「あ、こら、待てと言ってるのに。」
慌てて止めようとする僕を尻目に、めぐみはワンピースの肩紐を肩から外した。レモンイ
エローのワンピースはめぐみのすらりとした肢体を滑り落ちる。目のやり場に困っている
僕をからかうように、めぐみは脱ぎ捨てたワンピースを僕の方へ放った。
煙草を投げ捨ててワンピースを受け止める僕に向かって、間髪を入れず彼女の下着が飛
んでくる。狼狽える僕の姿を見て、めぐみはひとしきり楽しげな笑い声を上げると、再び
プールの端に腰を下ろた。
日焼けひとつしていない彼女の真っ白な素肌はとても眩しく見えた。まるで皮膚自体が
発光しているのではないかと錯覚してしまうぐらいだ。
ぼんやりと見惚れている僕の前で、めぐみはそろそろと水の中に体を沈めていった。
「ひゃあ、冷たくて気持ちいい。」
めぐみの嬉しそうな歓声。
「やれやれ・・・・。」
ただ単に学校へ忍び込んでみるだけだったはずなのになぁ・・・・と心の中で愚痴りながら、
僕はスタート台の方へ回り込み、そこに腰を下ろした。
プールを見下ろすとめぐみは仰向けになって水面を漂っていた。月の光に浮かび上がる
真っ白なその裸体はとても美しかった。水に濡れた乳房が呼吸するたびに艶めかしく上下
するのが見える。
彼女はしばらくの間、眼を閉じてゆったりと水の感触を楽しんでいるようだったが、や
がて身を翻すと伸びやかな手足を優雅に動かしながら、ゆっくりと泳ぎ始めた。
僕はシャツのポケットから煙草を一本取り出し、火をつけた。しばし、めぐみが泳いで
いる姿を鑑賞することにする。
めぐみは淀みの無い流麗なフォームで水を切って泳いでいく。そう言えば子供の頃、彼
女は水泳の選手だったんじゃなかったか。僕はめぐみの芸術的とも言えるしなやかなスト
ロークを眺めながらそんなことを思い出していた。
めぐみは向こう側の端まで到達すると、水中でくるりと鮮やかにターンした。ややスピ
ードを上げて僕の方へと真っ直ぐに泳いで来る。
「見事なもんだ。まるで魚だな・・・。」
そう呟き、表現が少し違うような気がして首を捻る。魚というよりはイルカ・・・・というよ
りも・・・・
僕はそこで彼女にぴったりの表現を思いついた。
やがて彼女が僕のもとまで泳ぎついて顔を上げると、僕は躊躇うことなくその言葉を口
にした。
「まるで人魚みたいだ。」
僕の言葉にめぐみは嬉しそうな微笑を浮かべた。そして両手でプールの水をすくい上げる
と、いきなり僕の顔めがけて投げつけて来た。
ばしゃ!
僕は頭からもろに水を被ってしまった。煙草の火が一瞬にして消える。
「こ、こら!、なんてことす・・・」
めぐみは抗議の声を上げかける僕の腕を掴むと力一杯引っ張った。
「・・・うおっ!」
僕はバランスを崩し、ものの見事に頭からプールに落下する。
(やられた・・・・。)
プールの底に沈みながら僕は思った。彼女の性格からしてこうなる事は充分予想できたは
ずだったが・・・・油断した。
水の中は外の静けさを上回る静寂に満ちていて、まるで別の世界のようだった。僕はゆ
っくりと水の上に顔を出した。
「ねぇ、一緒に泳ごうよ。」
めぐみはにっこりと笑うと、ちょっと甘えたような声で言った。
「そういう事はプールの中に引っ張り込む前に言ってくれ。・・・・ああ、煙草がパアだ。あ
と十本以上残ってたのに・・・・。」
僕はずぶ濡れになった体を見下ろしながらぼやく。
「ええい!、そんなせこい事言わないの。ほら、脱いで。」
めぐみはぼくのシャツのボタンに指をかけながらそう言った。
「うわ!、いいよ自分で脱ぐから。」
「なに照れてるのよ・・・ヘンなの。」
慌てて体を離す僕を、めぐみは不思議そうな目で見つめてくる。
(ヘンなのはお前の方だ。)
僕は心の中で呟きながら服を脱いでいった。水に濡れた服は体にピッタリと張り付き、脱
ぎづらくて仕方なかった。脱いだ服は取りあえずプールサイドに放り投げる。パンツぐら
いは穿いておいた方がいいかな、とも考えたが向こうも全部脱いでいるのだからと思い直
し、すべて脱いでしまった。
裸になってしまうと不思議な開放感が沸き上がってきた。縛りつけられていた様々な制
約から解き放たれたような気がする。
僕はゆっくりと泳ぎ始める。体の表面を滑って行く冷たい水の感触が心地良かった。反
対側の端まで行ってターンすると、少し遅れてめぐみが水中でくるりと回転するのが見え
た。
ひとしきり泳いで立ち上がると、同じように泳ぐのを止めためぐみが声をかけてきた。
「どう?、気持ちいいでしょ。」
「ああ、確かに・・・・でも、いいのかね、こんなことしてて。見つかったらただじゃ済まな
いだろうな。」
僕はそう言うとプールの底を蹴って、水の上に仰向けになった。めぐみが何か喋っている
ようだったがうまく聞き取れない。後で思うに、恐らく「そんなつまらないことを言う奴
は、こうしてやる。」とでも言ったに違いない。
その証拠に・・・・
めぐみがいきなり僕の上にのしかかってきた。僕とめぐみは絡み合いながらプールの底
へと沈み込む。
不意をつかれ、思い切り水を飲むはめに陥った僕は、絡みつくめぐみの腕を振り解き、
水面に顔を出すと激しく咳き込んだ。
めぐみは僕から二メートルほど先に浮上した。ぶるぶると頭を振って顔にかかる水滴を
振り落としている。
「い、いきなり何を・・・」
抗議しようとする僕の顔に水飛沫が飛んで来た。もちろんめぐみの仕業だ。僕はすかさず
反撃に出る。めぐみに向かって盛大に水飛沫を飛ばしてやると、彼女はきゃあきゃあと歓
声を上げながら逃げ惑った。逃げながらも僕への攻撃を忘れないところはさすがだ。
しばらくの間、熾烈な攻防は続いた。僕達はまるで幼い子供達のように、お互いに水を
かけあって遊んだ。
やがて水音は次第に治まっていく。はしゃぎ疲れためぐみと僕は、どちらからともなく
一時、休戦することにした。
先ほどまでの激しい水音が嘘のように、辺りに静寂が降りて来る。
「あー、面白かった。」
めぐみは満足そうな笑顔を造って言うと、プールの底を蹴ってゆっくりプールサイドへ移
動した。僕は苦笑いしながら言う。
「しかし、大人げ無くないか、俺達・・・・。」
僕のその言葉を聞いためぐみは、急に真顔に戻ると、
「いいよ、それで・・・・大人げ無くていい。」
ポツリとそう呟いた。何だかひどく寂しそうな表情だった。きっと何か思うところがある
のだろう。
めぐみはプールの縁に頭を凭せ掛けると、夜空に浮かぶ月を見上げながら続ける。
「つまらない大人になるくらいなら、下らない子供でいるくらいなら、僕は大人げ無い大
人になりたい。」
「おおっ、詩人だねぇ。」
僕は努めて明るく言うと、めぐみのそばへと近づいた。そしてめぐみの隣りで同じように
プールの縁に凭れながら、
「それもいいかもな・・・・大人げ無い大人・・・か・・・・悪くないね。」
「でも、その前に・・・・」
めぐみはそう言うと、悪戯っぽい微笑みを浮かべながら、
「ふたりで悪い大人になってしまおう。」
言うやいなや、僕の首にめぐみのしなやかな腕が巻き付いた。僕はめぐみの乳房が胸に押
し付けられる柔らかな感触に、激情が下半身に漲っていくのを感じる。
「おいおい、それはやばいんじゃないか?」
「もう、やばいことするから『悪い大人』なんじゃない。」
「なるほど、そ・・・・」
僕の言葉をめぐみの唇が塞いだ。僕はめぐみの華奢な体をしっかり抱きとめ、体中に迸る
欲望に突き動かされるように激しく唇を重ねた。
僕らは縺れ合い、絡み合いながら水の中へと泳ぎ出した。
熱く火照るめぐみの乳房に顔を埋めると、僕は唇と舌と指先でその柔らかく滑らかな感
触を確かめた。濡れた肌はまるで吸いつくようにしっとりと僕の唇を受けとめる。めぐみ
は僕の頭を抱きかかえるようにしながら、切なげな吐息を吐いた。桜色に色づく蕾をそっ
と噛んでやると、彼女は僕の後頭部をまさぐりながら顔を仰け反らせる。
めぐみの乳房は水の中に溶け出してしまいそうなほど柔らかかった。僕は飽きることな
くその柔らかな膨らみを撫で上げ、唇で心地良いその感触を楽しんだ。
やがてめぐみの胸からゆっくり顔を離すと、彼女は小鳥が餌をついばむように、僕の唇
に何度もキスを繰り返した。ほんのりと上気した目許が彼女の内面の昂ぶりを物語ってい
る。
僕はめぐみの柔らかい唇を受け止めながら、彼女の中にそっと指先を滑り込ませた。重
ね合わせた唇の奥で、彼女は甘い溜息をつく。
火傷しそうなほど熱い感触が僕の指を包み込み、柔らかく絡みついた。めぐみの中の激
情を確かめるようにゆっくりと指先を泳がせていくと、彼女は僕の頭を掻き抱いて耳たぶ
を甘噛みした。そして、
「ああ、熱いわ・・・・体が燃え尽きちゃう。」
僕の耳元で荒い息を吐きながら囁く。艶めかしく激しいその息遣いが僕の中に潜む情熱を
激しく揺さぶった。
僕はめぐみの腕をそっと引き剥がすと、滑らかな曲線に包まれたその体を水の上に静か
に横たえた。めぐみの長い髪が水面の上にさっと広がっていく。月の光を浴びて白く浮か
び上がる滑らかな肢体に僕は少しの間目を奪われた・・・・人を惑わす人魚の裸体だ。
僕はゆっくりとめぐみの体を開くと、その中心に唇を当てた。
「あ・・・」
微かなめぐみの声。
燃え滾る官能の炎を唇に感じながら、僕は甘美なめぐみの感触に酔いしれた。ゆっくり
と舌でなぞっていくと、めぐみの声は次第にはっきりとした悦びの声に変わり、僕の耳を
心地良くくすぐる。
僕は舌先でめぐみの柔らかさを確かめるように、隅々まで丹念に味わった。めぐみは僕
の愛撫のひとつひとつに敏感に反応し、甘い嬌声を上げ続けた。
どれくらいそうしていただろう。僕は時間の感覚を忘れるほどめぐみの体に夢中になっ
ていた。溺れていた、と言ってもいいかもしれない。
再びめぐみの体を抱き寄せる。
彼女の細い指が情熱を滾らせる僕をやさしく包み込んだ。僕は思わず小さく呻き声を上
げる。水の中でめぐみの指先が軽やかに踊ると、痺れるような甘い戦慄が体中を駆け巡っ
た。僕は激情に駆られ、飢えた獣のようにめぐみの可憐な唇を貪った。
やがてめぐみの指先に導かれ、僕はめぐみの入口へと辿り着いた・・・・。
灼熱の坩堝と化しためぐみの中へ僕はゆっくりと体を沈めた。たちまち熱く甘美な感触
が僕を包み込み、官能の淵へと捲き込んでいく。
めぐみの声が艶めかしく糸を引いて響き渡った。しなやかな彼女の手足が僕の体に絡み
つき僕をより深い場所へといざなう。
僕達はしばらくの間、抱き締め合ったままお互いの感触を確かめた。
めぐみは潤んだ瞳で僕を見つめながら、
「悪い大人に・・・なっちゃったね、わたし達。」
共犯者めいた微笑を浮かべる。目許がほんのりと桜色に色づき、普段の彼女からはちょっ
と想像出来ないくらい色っぽい。
「悪い子供だったりして。」
僕は彼女を見つめ返しながら囁いた。めぐみは声をたてて笑うと僕の耳元に顔を寄せ、
「ずっとこうしていられたらいいのに・・・・」
小さくそう呟いた。
その時、めぐみはいったいどんな表情をしていただろうか。少なくとも笑ってはいなか
っただろう。僕は胸に切ない痛みを感じ、思わずめぐみの華奢な体を強く抱き締めた。彼
女は・・・・めぐみは何かにすがりつくように僕を抱き締め返してきた。
僕は彼女の熱い体をしっかりと抱きとめたまま、体を水の中に投げ出した。
僕達は抱き合い、繋がり合ったまま静かに水中を漂った。奇妙な浮遊感覚が僕達を優し
く包み込む。不思議に息が苦しいとは感じなかった。ただ欲望の赴くまま、僕達はお互い
の体を、情熱を求め合った。
やがて、めぐみの中を深く浅くさ迷いながら、僕はこの甘美な時間の終わりを予感した。
プールの底に足を着け、めぐみの体を抱きかかえながら立ち上がる。
めぐみは水面から顔を出すと僕の首筋に額を当てて俯きながら、乱れる呼吸を懸命に鎮
めていた。僕は彼女が落ち着くのを待たず、強引に顔をねじ込み、唇でその可憐な唇をす
くい上げる。
「あ・・・ダメ・・・」
めぐみが喘ぎながらそう言うのが聞こえたが、僕は躊躇わなかった。
長く激しいキスが終わり唇が離れると、めぐみは僕の頬を両手で包み込みながら、
「・・・ねぇ・・・・来て・・・。」
切なげな声で囁いた。僕はその声に導かれるように彼女の中へ突き進み、沸き上がる激情
のすべてをぶつけた。
めぐみは僕を深く迎え入れるたび、どんな動物よりも美しい鳴き声を放った。
(人魚の鳴き声だ・・・・)
僕はその甘く切ない旋律を聴きながら思った。
やがて僕が彼女の一番深いところへ到達すると、人魚はしなやかなその体を弓なりにし
てひときわ高い悦びの声を上げた。
僕は遥かな高みへと上り詰めていくめぐみを見つめながら、彼女の中に燃え滾る情熱を
解き放った・・・・・・
僕達は水の上に寄り添うように寝転んだ。そして月を眺めながらしばらく下らない話を
した。夜は再び静寂を取り戻し、僕らを優しく包み込む。
やがて徐々に会話も少なくなり沈黙が僕達を支配し始めた。
「・・・・帰ろう・・・か・・・。」
めぐみがポツリと呟く。本当は帰りたくないのを僕は知っていた。知っていながら他に適
当な言葉が見つからず、
「そうだな。」
とだけ言った。
プールサイドに上がると、
「ねぇ、そのずぶ濡れの服、何て説明するつもり?」
めぐみは塗れた髪から雫を払い落としながら言った。
「転んだことにでもするさ。」
僕は水を含んでずっしりと重くなった服を持ち上げて答えた。
「転んだ?、どこでどう転んだらそんなになるのよ。」
めぐみはそう言うとくすくすと笑い声を上げる。
「転んだ先が水溜りだった。」
「そんな全身ずぶ濡れになるような水溜りなんてあるわけ・・・・。」
「ある!、長さ二十五メートル、幅十五メートル、深さが一メートルちょっとの水溜り。」
僕がプールの方を顎で示しながら言うと、めぐみは素っ裸のまま笑い転げながら、
「バカ。」
と言った。やはり彼女は無邪気に笑っているのが一番魅力的だった。
来た時と同じようにフェンスをよじ登ろうとすると、背後にいためぐみが声を掛けてき
た。
「また来たいね。わたし病みつきになっちゃった。」
僕は振り向くと思わず、
「夜のプールで泳ぐのがか?、それとも夜のプールでするのがか?」
と訊いてしまった。
(しまった!、ぶん殴られる。)
咄嗟に首を竦めて体勢を整えたのだが、予想に反して、
「もう、バカ・・・。」
めぐみはちょっと恥ずかしそうにそう言った。恐ろしいことにどうやら後者の方だったら
しい。
「言っとくけどこれは建造物侵入という立派な犯罪だぞ。」
「見つかったら・・・でしょ。」
僕の警告などどこ吹く風で、めぐみはさらりとそう言ってのけた。そして、
「今年はもう無理だけど来年か再来年・・・・。」
「ホントに来る気か?・・・・」
僕は絶句した。
「当然でしょ!」
めぐみは悪戯っぽい笑みを浮かべると、フェンスに手を掛け、軽やかな身のこなしで金網
を飛び越えた。
「やれやれ・・・・。」
溜息を吐く僕を楽しげに眺めながら、めぐみが言った。
「だからちゃんとお供するんだよ。絶対!、約束だからね!」
約束が果たされることは無かった。結局、あの夏の夜以来、僕はめぐみに会っていない。
何年か前、一度だけ彼女の噂を耳にしたことがある。良くない噂だった。
最近、僕は妻や子供達から「大人げ無い」とよく言われる。どうやら「つまらない大人」
にはならずに済んだらしい。彼女は・・・・めぐみはどうなんだろう。「大人げ無い大人」に
はなれたのだろうか?。出来ることなら「つまらない大人」でもいいから幸せに暮らして
いてほしいと思う。心からそう願わずにはいられない。
また夏が来る。体を包み込む熱い空気が、めぐみと過ごしたあの夜の記憶を呼び覚ます。
彼女もどこかでこの暑さを感じ、思い出しているのだろうか・・・・
あの、月とプールと人魚の夏を・・・・・・
<月とプールと人魚の夏 完>
