女子高生エージェント葉月、享楽の密室
夜遊びドットコム yoasobi.com はあなたのナイトライフを応援します
「頑張るね、葉月は」
甲山が感心したような声で言う。
熱に浮かされたように朦朧とする意識の中、葉月はそれが「してほしくなんかない」と
言った自分の言葉に対する感想であることに気付く。
「はじめて見た時から分かってたよ。葉月がそうそう簡単に落ちるタイプじゃないってこ
とは……」
ここにきてようやく甲山も診察のふりを止めたようだ。多分、甲山の顔にはあの、人を
見下したような笑顔が貼りついているのだろう。それを見るのが嫌で、葉月は天井にいく
つも埋め込まれている暖色系の小さなライトをぼんやりと見上げた。
視界は意外なほどしっかりしていて、整然と並ぶライトの丸い形状もはっきりと捉えら
れる。
(あ……)
葉月はそこでようやく、甲山の指の動きが止まっていることに気付いた。
今や大胆な角度で開いてしまっている葉月の太腿の半ば、制服のミニの裾あたりにじん
じんと痺れるような感触がある。相変わらず太腿は小刻みに震え続けてはいるが、感覚的
に慣れてしまったからなのか、それとも指先が動きを止めているからなのか、湧き上がる
愉悦は先程よりも随分おとなしくなっている。
(わざと?)
葉月は、甲山があえて愛撫を中断しているように思えてならなかった。
一瞬、頭の中を過ぎる嫌な予感……
「普通のコだと耳だけとか、腰だけとか……それだけでダメになっちゃったりするんだけ
どね」
思った通りだった。甲山はくだらない能書きを聞かせるために愛撫を中断したのだ。し
かも……おそらく、先程と同様、葉月を辱める言葉を吐いては、葉月がどんな反応をする
のか観察して楽しむつもりだ。
(悪趣味な……最低っ)
葉月は心の中で舌打ちした。
ただ、甲山のここでの言動はすべてバッグに仕込んだレコーダーに記録されている。甲
山は、くだらない能書きを喋れば喋るほど自分の首を締めることになるのだ。そう考える
と少し胸がすっとした。
甲山に指摘された男性経験の数々や、あるいは自分の乱れようまで上司のハゲ原や警察
関係者に聞かれるのは嫌だったが、それは幾多の女性内偵エージェントたち――葉月が尊
敬し、目標とする「あの人」も通ってきた道だと思えば我慢できる。
それに、竹原以外の警察関係者たちと葉月が顔を合わせることは絶対にない仕組みにな
っている。どこの誰とも知れない人間に自分の痴態を聞かれたところで、別にプライドが
傷つくわけでもない。
「……だから、葉月には念入りに僕のスペシャルメニューを味わってもらったんだ」
甲山の軽薄な声が、葉月を現実の世界へと引き戻した。
等間隔に並んでいる天井のライト……
蒸し暑い部屋の空気……
額に浮き出た汗の雫が一滴、こめかみの方へと流れ落ちていく。
「診察……とか、気の流れとか……全部嘘だったのね」
葉月は自分の声の調子を探りながら慎重に言った。熱気を含み、多少上擦ってはいるが、
声質はしっかりしている。身体は依然として甘い性熱に力を奪われたままだが、対照的に
意識の方は冷静さを取り戻しつつあった。
「いや、嘘じゃないよ」
甲山は即座に否定した。怒っている風でも、笑っている風でもない、淡々とした口調だ
った。
「まあ、確かに前戯を兼ねていたのは認めるけどね。気の流れはちゃんと診たつもりだ。
その証拠に……僕の言ったこと、全部当たってただろ?」
「うっ……」
葉月は答えに詰まった。甲山への問い掛けは完全にやぶへびだったようだ。
「否定しないね。図星だったわけだ」
皮肉っぽい口調……完全にからかわれている。
「違う……」
「どう違うの?」
「それは……」
葉月はまたしても沈黙してしまう。まさに甲山の思う壺だ。いっそ処女だと言い張って
みようか……と考える葉月を先回りするように、
「まさか処女だなんて言わないよね。これだけ僕の愛撫に反応しておいて」
駄目だ。完全に甲山のペースに乗せられている。分かっていながら葉月はつい言葉を返
してしまう。
「反応なんて……」
言った途端、後悔した。案の定甲山は、
「ほら」
葉月の言葉を待っていたように、両手の指を動かし始める。スカートの奥へと進ませる
のではなく、その場で小さく円を描くように――
「あっ……はあっ!」
葉月はたちまち身体をのけぞらせ、下肢を激しくわななかせた。
表層を軽快に走りまわる鋭い喜悦と、胎内に直接響いてくるような重く鈍い疼き……ふ
たつのまったく異なる快感が混ざりあい、絡まりあって葉月を快楽のドロ沼へと引きずり
込む。
回復しかけていた意識があっという間に白濁し、視界がじんわりと滲んでいく。
「はあっ……あああっ……ああぁ……」
止めどなく溢れ出してしまうすすり泣きの声……甲山の指先はすでに動きを止めている
というのに、あさましい身体の反応が、燃え上がる劣情の炎が収まってくれない。
「ほら、葉月の身体、こんなに欲しがってる」
甲山の声はちゃんと聞こえていた。が、葉月は何も言葉を返せなかった。
「はっ……はっ……はぁ……」
喘ぎ声を止め、息を整えるのが精一杯だった。
甲山が愛撫を止めてからどれくらい経ったのだろう……ようやく淫らな身体の動きが静
まり始めた。
(こんな……凄いことになってるなんて……)
葉月は、自分の身体の凄まじい反応に恐怖感さえ覚えた。こんなに欲情し、昂奮したこ
となど未だかつてなかった。
(わたし、これから……どうなっちゃうんだろう)
例えようのない不安と恐れ……だが、その裏には隠すことのできない「未知の快楽」へ
の期待と昂奮が潜んでいた。
「葉月、やりたいんだろ?」
ねっとりとした甲山の声が、野卑な言葉が、葉月の中に重々しく響いた。静まりつつあ
った劣情が、得体の知れない欲望が、甲山の言葉に煽られ、再び息を吹き返す。
キュン……
身体の奥深く、子宮が鳴き、
ヒクリ……
膣内で肉壁が蠢く。
(ヤ、ヤりたい……)
下品で卑猥な言葉……だが、「セックスする」、「抱かれる」などという取り澄ました
言いまわしよりもずっと、葉月の中の欲望を正確に言い表している。
「やりたく……なんか……ない」
かろうじて葉月は踏み止まった。
「へぇ、こんなになってもまだ頑張れるんだ。葉月は凄いな」
甲山は賞賛の声を上げると、
「まあ、それでこそ落とし甲斐があるんだけどね」
気楽な口調で言いながら、指先を、今度は太腿の付け根へと向かって動かし始めた。
「ああああっ!」
葉月は悲鳴にも似た悦びの声を上げ、流れ渡る喜悦に身悶えた。反応は、もはや下半身
だけではおさまらず、葉月の全身に及んでいた。
胸の膨らみが制服のシャツの下、ふるふると震える。
艶かしい喘ぎ声を迸らせながら、肉感的な唇がわななく。
なだらかな肩のラインが、不規則に大きく揺れる。
そして――
鍛え上げられた下肢が緊張と弛緩を小刻みに繰り返し、ウエストとヒップが前後、左右、
上下と、あらゆる方向に暴れまわる。
太腿の内側を滑るたった十本の指が、今や葉月のすべてを操っていた。
「欲求不満なんだろ」
甲山は嘲るような声でそう言うと、制服のミニスカートの中――熱気に満ち溢れた暗が
りへと指先を沈めていく。
「あ、あっ…ち、ちが……う……」
震える唇でどうにか否定の言葉を紡ぎながら、
(そう、そうなの……アソコが疼いて仕方ないの)
葉月は心の中で叫んだ。
「もう一年もご無沙汰なんだろ」
甲山の口調に嗜虐的な色が加わる。
「ああぁ……で、でたらめ……んああっ……い、いわ……ないで」
葉月は艶かしい喘ぎ声混じりに言い返す。
(だ、だから……ヤりたくて、ヤりたくて、たまらないの)
痛切な願望が葉月の頭の中をドロドロに溶かしていく。どこまでも淫靡に、卑猥に、貪
婪になっていけそうな――奇妙な高揚感が、葉月の胸を熱くさせる。
「ほら、もう我慢できないんだろ?」
甲山が言い終わると同時に、その指先は最終地点――太腿の狭間で息づく葉月の中心部
へと辿り着いた。
「あ、はあああああああっ!!」
葉月はひときわ高らかに悦楽の嬌声を上げると、下着に覆われた女の部分を甲山の指先
になすりつけるように、あさましく腰を振りたてた。
恥知らずな腰使い――葉月は甲山の前に痴態を晒しながら、
「ああぁ……もう……我慢でき……ないの」
ついに、言葉と気持ちが重なり合い、それは途切れ途切れに葉月の唇から溢れ出ていっ
た。
つづく
